流動性プールに資産を提供した際に、価格変動によって一時的に発生する損失。
**インパーマネントロス(Impermanent Loss)**とは、DeFi(分散型金融)の「流動性プール」に資産を預けたとき、
価格変動によって発生する一時的な損失のことです。
イールドファーミングやAMM(自動マーケットメーカー)を理解する上で欠かせない概念です。
💡 インパーマネントロス(Impermanent Loss)とは?
インパーマネントロスとは、流動性提供(LP)を行った資産の価格変動によって、
そのまま保有していた場合よりも価値が減少する現象を指します。
“Impermanent”=「一時的な」
“Loss”=「損失」
つまり、価格が元に戻れば損失は消えるが、戻らなければ**実質的な損失(Permanent Loss)**となります。
🔹 発生する仕組み
流動性プール(Liquidity Pool)は、たとえば「ETH/USDT」など、2種類の資産を50:50の比率で預けることで構成されます。
AMM(自動マーケットメーカー)は、常に資産の比率を一定に保つよう自動調整します。
この調整が、価格変動による損失を生む原因です。
▶ 例:ETH/USDTプールに預けた場合
ETH価格 = 1,000 USDTのとき
→ あなたは 1 ETH + 1,000 USDT を預ける(合計2,000ドル相当)
ETH価格が上昇して 2,000 USDT になった場合
→ プールは比率を保つために自動でETHを売却し、USDTを買い増す。
→ あなたの保有は約0.707 ETH + 約1,414 USDTとなる(合計 ≒ 2,828ドル)
もしETHをそのまま保有していた場合
→ 1 ETH + 1,000 USDT = 3,000ドル
👉 差額 3,000 − 2,828 = 172ドルの損失(約5.7%)
これがインパーマネントロスです。
🔹 損失率の目安(価格変動幅と損失の関係)
価格変動幅(片方の資産)
インパーマネントロス率
±1.25倍
約0.6%
±1.5倍
約2.0%
±2倍
約5.7%
±3倍
約13.4%
±5倍
約25.5%
価格が大きく変動するほど、損失は急増します。
🔹 「一時的」と言われる理由
価格が元に戻れば損失はなくなる(=impermanent)
しかし、元に戻らなければ**永久的損失(permanent loss)**になる
👉 実際には、多くのケースで価格が戻らず「実質的損失」となるため、投資家は常に注意が必要です。
🔹 インパーマネントロスを軽減する方法
ボラティリティの低いペアを選ぶ
例:USDC/USDT(どちらもステーブルコイン)なら損失はほぼゼロ。
報酬(APR/APY)で相殺
ファーミング報酬や手数料収益が損失を上回れば、結果的にプラスになる。
一方向型AMM(例:Balancer、Uniswap v3)を利用
資産の範囲を限定してリスクを最小化。
価格が安定したタイミングで提供・引き出す
極端な相場変動中はLP提供を避ける。
🔹 インパーマネントロスが発生しやすいケース
プロジェクト
特徴
Uniswap / SushiSwap
50:50ペアで発生しやすい
PancakeSwap
高APRだが変動リスク大
Curve
ステーブルコイン中心で損失がほぼゼロ
Balancer
比率調整により影響を緩和可能
🔹 まとめ
要点
内容
定義
流動性提供によって発生する一時的な価値減少
原因
資産価格の変動による自動リバランス
一時的な理由
価格が戻れば損失も消える
対策
安定ペア選択・報酬で補う・変動範囲を限定
注意点
価格変動の大きいトークンではリスクが高い