流動性プール

流動性プール(Liquidity Pool)は、DeFi(分散型金融)における基盤的仕組みで、ユーザーが資産を預けることでDEX(分散型取引所)やレンディング市場の流動性を確保する仕組み


1. 基本構造

  • ユーザー(LP=Liquidity Provider)がトークンをペアで預ける
    例:ETH/USDC プールなら ETH と USDC を同額ずつ供給
  • 預けた資産はスマートコントラクトにロックされる
  • プール内の資産を使って取引が行われ、スリッページが抑えられる

2. 代表的な用途

  1. 自動マーケットメイカー(AMM)DEX
    • Uniswap, SushiSwap など
    • オーダーブック不要で、プール内資産比率に基づいて価格を算出
  2. レンディングプール
    • Aave, Compound など
    • 預けられた資産が借入人に貸し出され、利息収益をLPが得る

3. 収益の仕組み

  • 取引手数料:トレーダーが支払う手数料の一部をLPに分配
  • インセンティブ報酬:流動性マイニングで追加トークンが配布される場合あり

4. リスク

  1. インパーマネントロス
    • 預けたトークンの価格変動によって「持っているだけ」の場合より価値が減少する損失
    • 例:ETHが大きく値上がりすると、プール内でETHが自動的に売られUSDCに変わり、結果的にETH保有量が減少
  2. スマートコントラクトリスク
    • バグ、ハッキングによる資金流出
  3. 流動性枯渇リスク
    • 特定トークンの急激な下落でプール資産が偏り、取引不能に陥る

5. 計算例(Uniswap V2方式)

  • プールは 定数積公式(x × y = k) に基づく
    • x = トークンAの数量
    • y = トークンBの数量
    • k = 常に一定
  • トレードが行われると比率が変動し、価格も変動する

例:
プールに ETH 1000枚と USDC 100万枚 → 1 ETH = 1000 USDC
トレーダーが 10 ETH を購入すると、残る ETH = 990、USDC = 1009900 となり、ETH価格は上昇


6. まとめ

  • 流動性プールは DeFiの取引や貸借を支える中核インフラ
  • LPは 手数料収入+インセンティブ を得られるが、価格変動リスクや契約リスクが伴う
  • 投資判断では APR/APY だけでなく インパーマネントロスを考慮する必要がある